03日 5月 2025
従業員の退職金設計において、「退職金」と「iDeCo」の受取時期を5年ずらすことで、それぞれに退職所得控除を適用できることは大きなメリットでした。たとえば、iDeCoを60歳で受け取り、会社からの退職金を65歳で受け取る―勤続30年であれば1500万円、40年であれば2200万円まで非課税となり、退職金を年金で受取ることで結果、税金が増えたり、健康保険料や介護保険料が増えたり、使う際の自己負担が2割あるいは3割負担になるよりも一時金受取りによるメリットを享受できます。しかし、この制度が「10年」に延長される方向で見直されようとしています。
高齢者雇用安定法の改正で、65歳までの定年義務が企業に課されていますが、現在、70歳定年は“努力義務”です。iDeCoの掛金年齢引き上げや、公的年金の現状を見るに、将来的にはこれが「努力」ではなく「義務」になる可能性も否定できません。企業としては、インフレに見合うだけの退職金増額を継続的に実施するのは難しく、やはり、従業員自身の老後資金形成は「自己責任」のもと、金融リテラシー教育も必要と思われます。
30日 4月 2025
先日、50代の女性から、親御さんの介護と相続についてご相談を受けました。親御さんはすでに要介護認定を受けており、日々のケアマネジャーとのやり取りや役所対応のほとんどを、この女性が担っている状況です。ご兄弟はお兄様がいらっしゃるものの、実際の対応は彼女が主導。
一方で、ご本人もお子さんの教育費や住宅ローンを抱えており、仕事を辞めて介護に専念するという選択肢は現実的ではありません。 こうしたケースは決して特別ではなく、実際に介護・看護を理由に離職する人は年間約10万人に上ると言われています。 中でも、「娘が介護を担う」状況は非常に多く、親にとっても娘の方が相談しやすい傾向があるようです。 さらに厚生労働省の調査では、「介護の悩みを会社に相談できた人」は3割程度、「介護保険制度の具体的な内容を理解していた人」も同じく3割にとどまっています。
この現状から見えてくるのは、家庭の事情と仕事の両立に悩む従業員に対し、企業側も、人手不足のいま、制度・情報・働き方の面でより踏み込んだ支援が求められているとともに、従業員自身の家計管理、親の介護、相続、社会保険制度の知識が必要に感じます。
24日 4月 2025
4月より様々な制度が法改正されており、そのひとつに、男性の育児休暇取得への支援として、条件を満たせば、【育児休業給付金】と【出生後休業支援給付金】が受け取れます。両方利用することで、産後パパ育休中の給付金が育休前の手取り額の実質100%相当になります。また、2歳未満の子供を育てる従業員の時短勤務による収入減少を補填し、時短勤務の活用を促進するための【育児時短就業給付金】が開始されました。時短勤務時の賃金の10%が支給されます。昔と大きく変わり、専業主婦世帯より共働き世帯が2倍以上に増えています。若い世代の価値観や優先度も、仕事より家族や安定などを重視する傾向です。NISAやIdecoなどを始めた動機の一つとして老後の資産形成という声も増えています。育児も、女性が家庭を守るのではなく、ともに協力して育児するという考え方が増えています。あらゆる業界において、デジタル化の加速や価格破壊、情報が溢れることで消費者の目が肥え、選別基準が厳しくなってきた現在。一方で、人手不足と課題が多い中、どうやって次世代の人材を確保し、育てていくかを考えなければなりません。
19日 4月 2025
4月から、自己都合退職による失業手当の給付制限が1カ月に短縮されました。職業訓練を受講する、あるいは退職時に受講している場合は給付制限はなく、7日間の待期期間のみで受給となります。雇用流動化の一環の側面もあると思いますが、一方ネットでは、少しでも長く失業保険をもらう方法などが拡散されています。完全リタイヤするでもなく、アルバイト程度の仕事をする予定でもなく、正社員として再就職する場合は、そのブランクの問いに対する準備も必要かと思われます。どんなに人手不足であっても、企業にとって利益を生む必要な人材、利益を生む武器を持っている人材と評価されなければ、採用されません。仕事に不満や不安を感じたときに大切なのは、自分のライフプランを描き、自己理解と仕事理解を深めた上で、今、辞めることが自分にとって最良の選択なのかを冷静に見極めることと思います。自分の人生と真剣に向き合い、納得して働くことができる環境をつくることは、経営者にとって、企業にとって最大の「利益」になると思います。
15日 4月 2025
2025年度の税制改正が成立し、家計に影響する重要な変更がいくつか発表されました。注目されていた「基礎控除」と「給与所得控除」は、合計で最大160万円に。年収が約200万円までの方が対象となります。
また、年収655万円〜2,350万円の方については、基礎控除額が一律58万円に引き下げられました。これにより、中〜高所得層の実質的な課税所得が増える可能性があります。
一方、国民年金保険料は昨年に引き続き引き上げられ、2025年度は月額17,510円に。さらに2026年度には17,920円に上がる見通しです。
年金受給額も見直され、今年度は昨年より1.9%増加。月額で見ると、68,000円 から 69,308円(+1,308円)になります。ただし、物価上昇率は2.7%であり、将来の年金制度の安定のため、物価スライドが適用されますので▲0.4%からの差し引き1.9%になっています。物価が上がり、税金や保険料の負担もじわじわ増えていく中で、「なんとなく生きる」だけでは不安が大きくなってしまいます。
だからこそ、正しい知識と最新の情報をもとに、自分と家族のライフプランが大切と思います。
10日 4月 2025
子どもから、NISAを始めたいから教えてと言われました。以前話したときは全く興味を示さなかったので聞いたら、回りが始めたからとのことで、まず口座開設から教えました。
金融庁によると、昨年末時点において口座開設数は約2560万口座と、ざっと国民の4人に1人が開設した計算になります。
年間の新規買付は、成長枠が約12.5兆円、つみたてが約5兆円、合計約17.5兆円となり、家の金融資産は約2230兆円となっています。
投資信託においては、人気商品のS&P500や全世界株式(オルカン)の1カ月当たりの流入金額は約2000億円です。
また、金利上昇の影響からか国債や定期性預金への流入が増えています。
現在株式の乱高下の渦中ですが、改めて、お金を増やす目的や動機、そして自分のリスク許容度を明確にしておくことが大事ではと思います。
29日 3月 2025
先日、友人から「知人が夫を亡くし、相続手続きに困っている」という相談を受けました。そこで、役所のガイドをダウンロードし、相続税の対象かどうかを簡単に計算した上で、手続きの概要を説明しました。
相続手続きは一般の方にとって馴染みがなく、士業とつながりがある方も多くはありません。突然直面すると、何から手をつけてよいかわからず戸惑うのも当然です。しかし、事前に知識を持っていれば、スムーズに進めることが可能です。 例えば、金融機関に遺言作成から相続手続きまでを依頼すると、相続税の対象にならない場合でも100万円以上の費用がかかります。しかし、相続税が発生しないケースでは、自分で手続きを進めることも可能です。この違いは「知っているか、知らないか」によるものです。 団塊世代の多くが75歳を超え、相続に関するビジネスがさらに活発化する可能性があります。相続市場の規模は約46兆円とも言われております。大まかですが下記URLで、相続税の有無が確認できます。
https://www.keisan.nta.go.jp/sozoku/yohihantei/top#bsctrl
27日 3月 2025
ここ最近、50代の方々から早期退職の相談や報告の電話が続き、退職金はどうした、保険はどうした、失業保険はどうした、と聞かれましたが、これから先の人生設計はどう考えているのですか?と聞くと、具体的回答をされた方はいませんでした。もちろんゆっくりして、それから考える、というのも一つの価値観です。
ちなみに、今でも転職登録はしています。理由は、自分の市場価値を知っておきたいからです。会社員に戻るつもりはありませんが、退職の際、試しに登録をしていくつか履歴書を送ったりしましたが、雇う側の意識を考え、もっと客観的に自分を意識しなければと痛感しました。いかに会社に守られていたかを分かっているようで甘かったと感じました。
健康保険の相談が多かったので、国保か任意継続の選択で、任意継続の方が安いです。また、失業保険は、早期退職で会社都合だと勤続が長い人は330日受給になるため、恐らく来年度の国保は安くなるので切り替えるのもひとつと話しました。
ただ、国民年金は…。今年は16980円、来年は17510円、再来年は17920円。副業や、事業所得+マイクロ法人設立など、さらに増えるかもしれません。
18日 3月 2025
国交省より公示価格が発表され、地価は、全国平均で4年連続上昇とのことでした。
購入の際は、金利も含めて、色々と検討材料が増えそうです。 若い世代では、50年ローンを組む方が増えているそうです。教育資金や、物価上昇に伴い、収入や働き方を含め、長いスパンで検討材料に入れる必要があります。
また、地価の上昇に伴い、相続も、今後どうなるのでしょうか。令和4年の相続税の納税者の割合は9.6%でした。相続財産において、不動産の割合は約3割です。また、相続人は、配偶者や同居親族がいない場合、持ち家(配偶者名義含め)があると(相続時に所有していなくても3年以内にあり)、8割の宅地評価が減となる特例が使えません。ご実家の土地またはご自身のお住まい、実勢価格含めてどのくらいの価値かご確認してみてはいかがでしょうか。
年間約50兆円といわれる相続市場です。
こちらのURLから、過去の近隣の取引も確認できます。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
17日 3月 2025
財務省の発表によると、
3月14日時点の国債の金利は、
10年で1.522%、20年で2.236%、30年で2.535%です。
例えば、100万円を10年預けると、116.3万円、20年では155.6万円、30年では211.9万円になります。
リスクをあまり冒したくない考え方や年齢であれば、以前と比べると、検討の余地はあるかもしれません。
お金を増やすためには、複利運用が大事だけに、時間が必要です。
改めて、ライフプランを立てることで、自分にとって必要な投資対象が選択しやすくなります。
年金定期便の年金シュミレーターでご自身の年金受給予測を確認して、おおよその老後生活水準を考えて、どのくらいあれば、安心か。それにより、運用金額や運用商品も変わります。
改めて、自分の将来の年金額を確認してみてください。