19日 7月 2025
近年、SNSを通じた投資詐欺が若年層に急増しており、被害額は過去最悪の水準に達しています。令和6年の被害額は約 871.1億円(前年比+213.4%)であり、1件あたりの平均被害額は約 1,358万円です。振込手段は、 振込型が86.2%(うちネットバンキング利用73.7%)、暗号資産による送金も11.9%と増加傾向にあります。接触手段は、インスタグラム23.1%、LINE17.5%、Facebook15.5%、誘導方法は、著名人になりすました広告やダイレクトメッセージで「儲かる投資グループ」へ招待、サクラが「100万円儲かった!」などと投稿するケースが多いです。
一方で、金融リテラシー調査では、18〜29歳の正答率は全体平均を大きく下回り、投資への関心は高まる一方で、知識の習得が追いついていない現状が浮き彫りになっています。また、若者の約3割が「新NISAを利用する予定がある」と回答しており、資産形成へのニーズは確実に存在しています。こうした背景から、金融知識の習得や情報の見極め力、そして自己管理能力の向上が、安心して未来を築くための鍵となるのではないでしょうか。
15日 7月 2025
2025年の税制改正により、所得税の基礎控除と給与所得控除の見直しが行われ、新たに特定親族特別控除が創設されたことにより、配偶者の扶養に入っていた人と大学生世代が、扶養内で働ける金額が増えることになりました。改正前は目安として
・年収が100万円を超えると住民税が発生
・年収が103万円を超えると、所得税が発生
・年収が106万円を超えると、条件によっては社会保険への加入が必要に
・年収が130万円を超えると、社会保険への加入が必要に
・年収が150万円を超えると、被扶養者の配偶者特別控除が満額で適用されなくなる
・年収が201万円を超えると、配偶者特別控除の対象でなくなる
103万円の壁が160万円の壁になりましたが、年収が130万円を超えると、全てのパートやアルバイトが社会保険の加入対象となりますので、引き続き扶養範囲内を選択している世帯において、収入増は望めないでしょう。 将来的には、第3号被保険者を含めて、幅広く社会保険料負担を求められることが予想されます。著しい物価上昇等も踏まえ、改めて叶えたい夢や目標の実現へ計画的な生活設計、収支管理が重要と思われます。
05日 7月 2025
国税庁が発表した2025年分の相続税路線価は、全国平均で前年比2.7%の上昇となりました。これは4年連続のプラスです。
背景には、観光需要の回復や都市開発の進展、オフィス需要の回復などがあります。特に商業地や交通利便性の高いエリアでは、地価の上昇が著しく、例えば、新横浜+12.2%、武蔵小杉+11.4%、二俣川+15.1%など、都市圏の中でも、鉄道の延伸や再開発の進む郊外エリアの上昇が目立ちます。
一方、2023事務年度の相続税調査では、追徴課税が857億円と過去16年で最高額となっています。また、相続税の課税対象者も、上昇しており、今後さらに高齢化進むことにより、課税割合が高まる可能性もあります。税務調査も厳しくなることが予想されますので、改めて、保有不動産の多い経営者の方であれば、資産の再確認や棚卸し、節税対策の強化が必要となると思われます。
13日 6月 2025
2025年6月13日、「年金制度改革法」が成立しました。これは、今後の社会保障と税の一体改革の起点となるものであり、将来的に企業経営や個人の資産設計にも影響を与える可能性があります。
特に注目すべきは、年金の受給開始を繰下げた場合の経済的インパクトです。以下は、基準年金額200万円の場合における、繰下げ受給による額面ベースと手取りベースの比較です(社会保険料や税負担を考慮)。
66歳・216.0万円 ・185.8万円
68歳・247.2万円・212.4万円
70歳・280.8万円・241.4万円
75歳・331.2万円・277.4万円
また、65歳から受給を開始した場合との**損益分岐年齢(何歳まで生きると繰下げのほうが得になるか)**は以下の通りです。
66歳開始→77歳・79歳
68歳開始→81歳・83歳
70歳開始→84歳・86歳
75歳開始←89歳・92歳
今後、社会保険料の自己負担や課税の仕組みに変更により、損益分岐点も変動する余地があります。
今後の生き方とお金の両立、備えと知識の自助努力が大切になってきます。
08日 5月 2025
4月から育児・介護関連の制度改定が実施されています。特に介護の分野では、現実的な備えが求められます。75~80歳未満では約8人に1人、80~85歳未満で4人に1人、85~90歳未満では2人に1人が要介護認定を受けているのが現状です。遠方に住んでいる場合は、なおさら心配は大きくなるでしょう。以下のような準備を検討することが重要です。①預貯金の金融機関を把握し、必要に応じて「代理人キャッシュカード」などを作成。万一の際に、子どもが迅速に資金を引き出せる体制を整える。②年金受給額や住民税の額に応じて、介護保険の自己負担割合が異なります。制度上の立ち位置を事前に把握しておく。③加入している民間保険の保障内容、給付期間、満了年齢を確認。「指定代理請求人特約」が付いていれば、子どもなどが代わりに給付請求できます。④介護サービス開始時の窓口となる「地域包括支援センター」の場所や連絡先を把握しておきましょう。要介護認定の際は、家族の同席が必要なケースがほとんどです。お金や介護の話は切り出しづらいものですが、親の意思能力があるうちに、身近な事例をきっかけに自然な形で始めてみましょう。
03日 5月 2025
従業員の退職金設計において、「退職金」と「iDeCo」の受取時期を5年ずらすことで、それぞれに退職所得控除を適用できることは大きなメリットでした。たとえば、iDeCoを60歳で受け取り、会社からの退職金を65歳で受け取る―勤続30年であれば1500万円、40年であれば2200万円まで非課税となり、退職金を年金で受取ることで結果、税金が増えたり、健康保険料や介護保険料が増えたり、使う際の自己負担が2割あるいは3割負担になるよりも一時金受取りによるメリットを享受できます。しかし、この制度が「10年」に延長される方向で見直されようとしています。
高齢者雇用安定法の改正で、65歳までの定年義務が企業に課されていますが、現在、70歳定年は“努力義務”です。iDeCoの掛金年齢引き上げや、公的年金の現状を見るに、将来的にはこれが「努力」ではなく「義務」になる可能性も否定できません。企業としては、インフレに見合うだけの退職金増額を継続的に実施するのは難しく、やはり、従業員自身の老後資金形成は「自己責任」のもと、金融リテラシー教育も必要と思われます。
30日 4月 2025
先日、50代の女性から、親御さんの介護と相続についてご相談を受けました。親御さんはすでに要介護認定を受けており、日々のケアマネジャーとのやり取りや役所対応のほとんどを、この女性が担っている状況です。ご兄弟はお兄様がいらっしゃるものの、実際の対応は彼女が主導。
一方で、ご本人もお子さんの教育費や住宅ローンを抱えており、仕事を辞めて介護に専念するという選択肢は現実的ではありません。 こうしたケースは決して特別ではなく、実際に介護・看護を理由に離職する人は年間約10万人に上ると言われています。 中でも、「娘が介護を担う」状況は非常に多く、親にとっても娘の方が相談しやすい傾向があるようです。 さらに厚生労働省の調査では、「介護の悩みを会社に相談できた人」は3割程度、「介護保険制度の具体的な内容を理解していた人」も同じく3割にとどまっています。
この現状から見えてくるのは、家庭の事情と仕事の両立に悩む従業員に対し、企業側も、人手不足のいま、制度・情報・働き方の面でより踏み込んだ支援が求められているとともに、従業員自身の家計管理、親の介護、相続、社会保険制度の知識が必要に感じます。
24日 4月 2025
4月より様々な制度が法改正されており、そのひとつに、男性の育児休暇取得への支援として、条件を満たせば、【育児休業給付金】と【出生後休業支援給付金】が受け取れます。両方利用することで、産後パパ育休中の給付金が育休前の手取り額の実質100%相当になります。また、2歳未満の子供を育てる従業員の時短勤務による収入減少を補填し、時短勤務の活用を促進するための【育児時短就業給付金】が開始されました。時短勤務時の賃金の10%が支給されます。昔と大きく変わり、専業主婦世帯より共働き世帯が2倍以上に増えています。若い世代の価値観や優先度も、仕事より家族や安定などを重視する傾向です。NISAやIdecoなどを始めた動機の一つとして老後の資産形成という声も増えています。育児も、女性が家庭を守るのではなく、ともに協力して育児するという考え方が増えています。あらゆる業界において、デジタル化の加速や価格破壊、情報が溢れることで消費者の目が肥え、選別基準が厳しくなってきた現在。一方で、人手不足と課題が多い中、どうやって次世代の人材を確保し、育てていくかを考えなければなりません。
19日 4月 2025
4月から、自己都合退職による失業手当の給付制限が1カ月に短縮されました。職業訓練を受講する、あるいは退職時に受講している場合は給付制限はなく、7日間の待期期間のみで受給となります。雇用流動化の一環の側面もあると思いますが、一方ネットでは、少しでも長く失業保険をもらう方法などが拡散されています。完全リタイヤするでもなく、アルバイト程度の仕事をする予定でもなく、正社員として再就職する場合は、そのブランクの問いに対する準備も必要かと思われます。どんなに人手不足であっても、企業にとって利益を生む必要な人材、利益を生む武器を持っている人材と評価されなければ、採用されません。仕事に不満や不安を感じたときに大切なのは、自分のライフプランを描き、自己理解と仕事理解を深めた上で、今、辞めることが自分にとって最良の選択なのかを冷静に見極めることと思います。自分の人生と真剣に向き合い、納得して働くことができる環境をつくることは、経営者にとって、企業にとって最大の「利益」になると思います。
15日 4月 2025
2025年度の税制改正が成立し、家計に影響する重要な変更がいくつか発表されました。注目されていた「基礎控除」と「給与所得控除」は、合計で最大160万円に。年収が約200万円までの方が対象となります。
また、年収655万円〜2,350万円の方については、基礎控除額が一律58万円に引き下げられました。これにより、中〜高所得層の実質的な課税所得が増える可能性があります。
一方、国民年金保険料は昨年に引き続き引き上げられ、2025年度は月額17,510円に。さらに2026年度には17,920円に上がる見通しです。
年金受給額も見直され、今年度は昨年より1.9%増加。月額で見ると、68,000円 から 69,308円(+1,308円)になります。ただし、物価上昇率は2.7%であり、将来の年金制度の安定のため、物価スライドが適用されますので▲0.4%からの差し引き1.9%になっています。物価が上がり、税金や保険料の負担もじわじわ増えていく中で、「なんとなく生きる」だけでは不安が大きくなってしまいます。
だからこそ、正しい知識と最新の情報をもとに、自分と家族のライフプランが大切と思います。